音の無い時間には血液の足音が聞こえる/ホロウ・シカエルボク
者でありながら傍観者で、そしていつでも水を飲み続けている、そんな時の時間はぶっ壊れている、数字を剥がされて、全身を切り刻まれている、廃棄されて、薄暗い空間に転がされている、そいつの流した煤けた血に誘われて、きちがいみたいな太陽の匂いを嗅いでいる、まるで生命のカオスの中で行先を見失った野良犬だ、鼻を鳴らしてもなんの見当もつきはしない、気がつけば薄暮の中に居る、終わったんだよ、今日の日はなにもかも終わったんだ、終了して、鍵を掛けられたんだ、腹の膨らんだ蛾がけたたましい羽音を立てながらそう告げては飛び去っていく、なぜ彼らはいつもそんなことばかりを騒がしく話しかけていくのだろうか?シンプルな構造の生物たち
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