音の無い時間には血液の足音が聞こえる/ホロウ・シカエルボク
さなけりゃいけないことがほとんどだったな、なにしろまわりのことになんかまるで注意を払っちゃいないんだ、機械仕掛けの人形みたいに数分置きにゆっくりと首を動かすくらいだった、注文をくり返す時ぐらいしか口を開かなかった、ああ、ラジオを消しておくべきだったよな、いつまでもあの店のことを思い出してしまう、ささやかながらやることをいくつか抱えているというのに…日々は狂ったように暑く、俺はいつでも水を飲んでいる、身体はどうしようもなく疲弊していて…時々現実は剥離して中空を漂っている、だがそれで何かが困難になるような複雑な日常は送っていない、あっちにあるものをこっちへとやるだけさ…まるで人体実験のようだ、当事者で
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