箱庭にて 雪氷積りて 草花艶やかに/黒ヱ
 

それだけ
「故に 光差す道理など無く」

そうだ
共に流れていた
「見ろ」
流星のよう 
止め処なく咲き続ける
日向に咲く花の美しさよ

過ぎゆく先を知らず
純粋は愚かと曰く 誰かよ

曰く
「遠い昔 子守唄として 
 何か可愛らしい子に歌ってあげた歌があって
 可愛らしい 迷い子の歌なのだけれど
 どうにも こうにも
 誰に歌ってあげたのか どうしても思い出せなくて
 今は自分で 自分のために歌っている」

その女は坂様になりながら嗚咽している
必死に思惑に似た泥人形を練り上げている

種を飛ばし 共に風に乗せ
その先を心から願った


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