箱庭にて 雪氷積りて 草花艶やかに/黒ヱ
「思い出
もう今は思い出
昔の思い出
大切な思い出」
―終わりの先―
葉が焼かれている
これは熱い
間もなく 枯れ行き消えてしまうのだろう
「どうしようもない」
空は燃えている
天心から遠くまで どこまでも赤い
「どうしようもない」
わたしには どうしようもない
どうする事も出来ない
そう呟いて 独りで泣いている
「ここは地獄か」
「ここは天国だ」
「そうだ ここは天国だ」
「そうだ ここは地獄だ」
それでも
冷たい雨の降り続く地に 種は落ち
その先に虹は在り 花が咲く
それだから
「今日も明日も明後日も
来週も来月も来年も
十年先も」
「そして 尽きた その後も」
繰り返して また繰り返す
止まることもなく
ひとはきっと
願いの先に 花を咲かせることが出来る
鮮やかに
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