フクロウと呼ばれた少年/イナエ
 
通るように ぼくの見上げる上空を通り過ぎていた 町の郊外に設置された対空高射砲は火を噴くことは無かった するとあれは 高射砲では無くて 本土決戦に備えた野戦砲だったのかも知れないと思った

母の実家へ疎開する話が具体的になって ぼくと母は打ち合わせで田舎へ行った。大工をしていた叔父の作業小屋には若い兵隊さんが数人 四角い箱に鏡をつけた望遠鏡のような物を作っていた 一目見るなりそれは 海岸線に作られた塹壕から 海上を覗く物だと思った。そのことをフクロウに話した

次の日 フクロウより遅れて教室に入ったぼくは 軍国少年を自認していた級友が彼を指さしてスパイだ スパイが居ると叫んでいるのをを見た
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