フクロウと呼ばれた少年/イナエ
 
見た 日頃ぼくと話していたことを
軍国少年に話してしまったらしい ぼくはフクロウの方を見ないように ひっそりと席に座った 軍国少年は 新しい担任に告げ口した 先生は 軽くたしなめたらしかった 再び彼を スパイというものはなかったが 彼と口をきく者は居なくなった ぼくももう彼と話をすることはなかった 次の日 ぼくは 田舎に疎開した 
フクロウが広島の方に疎開したと聞いたのは 八月に入って間もなくだった 
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