フクロウと呼ばれた少年/イナエ
は戦車が乗っっているようだった
フクロウは大きな目を光らせ 見送っていた。いよいよ本土決戦が始まるのだろう。この日本の長い海岸線は どのように守ってもずいぶんたくさんの兵が必要になる。あの在郷軍人の話がいよいよ現実味を増してきた。
その頃には、毎日、毎晩のように空襲に見舞われた。東京も 大阪も 名古屋も 空襲を受けた 私もグラマンに遭遇したことがある。逃げる私を、操縦席の人は、笑って見ていたように感じた 実際には表情など見えることは無いのだが 隣町の県庁のある市が空襲を受けたとき 爆弾を落とし終わった 爆撃機が 規則正しく点滅する夜間航空灯をつけたまま まるで空に曳かれたレールの上を通る
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