フクロウと呼ばれた少年/イナエ
フクロウの兄も、十五歳で、予科練を志願して行った。 けれども もう日本には、この時期に予科練に入った者が乗る飛行はないといわれていた。フクロウの父は 兄の志願を(内心はともあれ)誇って名品と言われる日本刀をどこからか 調達して与えた。そのとき十歳だったフクロウも 将来は兄のように、国を守るために志願することを考えていたという
学校の帰り道 フクロウとぼくが いつものように 東海道線の小さな踏切を渡ろうとしたとき遮断機が下りた 目の前を二両の機関車に牽引された貨車が 東京方面へ通って行く 随分長い列車だった ときおりドアの開いた貨車から馬がこちらを見ていた シートをかぶせた無蓋貨車には戦
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