夏、プールにて。/時子
 
狭い海を泳ぐのを見ていた。自分のしてしまった事を考えれば、空き缶を投げ付けられるなんて気にならないって。」

トロが尻尾を下げて、申し訳なさそうに僕を見た。
僕は何も言えなかった。

「そんな所にいないで、こっちに来るといいわ。鍵は開いてるから。ねぇ、マグロ」

「…マグロ?」

「この子の名前よ。知らなかったの?


初耳だった。
トロは本当はマグロという名前だったのか。
鍵の外れたドアを恐々押し開け、僕はプールサイドを歩いて二人に近づいた。
マグロは僕の足にすりよって来て、ゴロゴロと喉を鳴らす。僕はゆっくりと屈んで、お腹の辺りを震える指で少し
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