或る命について/HAL
 
りでこの社会は成り立っている訣じゃないことも
ぼくは知っている

きっと絵空事だとも偽善だと言われることも知っている
でも もしひとつの命が地球より重いなら
どんな命も産まれ祝福されるべきだと想う

ぼくには2,000万人に一人の確率で産まれた
遺伝子異常による未発達障害の娘がいる
その娘は今年24歳になる
この国ではそんな子はたった6人しかいない
言うまでもなく治療する方法はいまはない

ぼくは別の理由で離婚したことによって
三歳までの娘しか憶えていない
面倒なことだし説明する必要はないと想うし
娘とは関係ないのでその経緯は述べない

確かに娘は自分の痰も切れ
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