背負って生きられるのかね/影山影司
 
僕の皿に足す。二人でそれを食べて……」
「ワインを飲んだり?」
「コーヒーを飲んだりして、退屈な午後を自然と受け入れる」
 自然と?
 トットが微笑んだ。
「退屈でも、それを退屈と感じずに、幸せと感じられるように」
「じゃあ、その後は?」
「いろいろさ」
「色々?」
「そう、出掛けたり、映画を見たり、音楽を聞いたり、しなかったり……」
「セックスしたり?」
 カミオは、しなかったり、という言葉を飲み込んだ。

 結果から話せば、カミオはその日、トットの体を楽しんだ。掌までなら、どうしても良い、という言葉に従い、それ以外の部分が触れないように注意しながら、手だけで彼女のこと
[次のページ]
戻る   Point(1)