背負って生きられるのかね/影山影司
 
だと。カミオとの初めての食事で、トットは静かに尋ねた。
「あなたは、私とどうしたいの」、と。
 カミオは答えにしばらく困って、村上春樹のようなことをしたいのだと言った。

「そんなにベタベタしようってんじゃないんだ。僕がいて、君がいて、僕がパスタを茹でる。君は本を読んでいる。何を食べたい、と君に聞くとトマトの赤さが引き立つソースが良い、と言う。僕は丁度ホールトマトの缶を開ける所で、それをやけに嬉しく感じる。どちらかの考えをねじ曲げて、寄り添うんじゃなくて君となら二人でやっていけるんじゃないかと思うんだ」
「パスタを茹でたらどうするの?」
「二つに割って、皿に盛って、割り切れない方を僕の
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