背負って生きられるのかね/影山影司
になるって」
カミオは、目眩を感じる。
嫌悪感の混じった、立ち眩みだ。浮気現場を覗いてしまったような、薄暗い気持ち。
「嫉妬だ」
ぽつり、と感情が口をついて出た。
「僕は今、嫉妬しているんだ」
「どこに?」
「君の体に、君以外のものがひっついて、時間をかけて、君と同じ生き物になることが」
「だって、相手は植物なのに?」
トットはケラケラ笑った。それでも、とカミオは思った。トットの首筋に手を回し、彼女の両腕ごと抱きしめる。耳たぶに唇が触れるほどの距離で、囁く。
「それでも、嫌なんだ。僕以外のものがそうすることが、嫌なんだ」
しばらく、間の悪い静かな時間が過ぎた。
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