背負って生きられるのかね/影山影司
 

 トットの白い指先が、背中で揺れる青い葉を撫でた。
「エクステみたいじゃない。こうやって見ると」
 確かに、肩甲骨を覆うほどある髪の下、彼女の身動ぎに合わせて揺れる葉は、毛先だけを染めたような鮮やかな緑だ。その一つが、摘まれて、爪先が少し食い込んだかと思うと、プツッとちぎり取られた。
「こうやって触ると、微かだけど感触があるの。体が繋がってるからなのかな。神経なんて、通ってないのにね。事故なんかで腕が無くなっても、腕の感触が残ることを幻肢痛って言うんだけど、これも幻肢痛の一種なんだろうね。今は触ってるかどうかくらいしかわからないけれど、何年も一緒になっていると、自分の体と変わらない感触にな
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