背負って生きられるのかね/影山影司
 
るが伸びて、彼女の黒髪の下をくぐって、背中へと滑り込んでいる。
「わあ」
 と、カミオは素っ頓狂な声を上げる。
「似合う? シダを生やしたの」

 似合ったり、似合わなかったりするものなのだろうか。カミオは、自分がまるで老人になったような気がした。ピアスやタトゥーを見た祖父が、わざわざ体を傷つけなくても……と否定したように。
「ふうん」
 なるべく、冷静な声を出すようにした。
「なんで、シダを? 普通は、もっと大っきな植物を育てるものじゃないの?」
「なんでも良かったのよ。重いのは嫌なだけで……。修行僧じゃないんだから、難しく考えずにやってみたかっただけなの。それに、ほら」
 
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