背負って生きられるのかね/影山影司
 
た。ただ……それなのに、一歩進みきれない。それは、トット自身がどうしていいか分からないからなのだ。カミオもトットも、お互いそれなりに恋愛の経験はある。ただ、愛したり、愛されたりの経験に欠けていた。
 自身が熱心になればなるほど、その熱意にどう動いていいのかが分からなくなる。
 相手の気持ちを感じれば感じるほど、自分がそんな気持ちを受けるのはもったいないと考える。
 だから、繁盛に会う。繁盛に会っては、意味のない会話をして、別れるのだ。

 カミオは、驚いた。
 先日あった時には、何もなかったはずなのだ。トットが、斜めがけのメッセンジャーバックを背負っていたからだ。そこから細い緑のつるが
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