取り替え子/影山影司
いましたが、キャッチボールなら出来ました。俺達は、団地の駐車場で野球ボールを投げ合っては、学校のことを話しました。先生のこと、部活のこと、授業中の話……あの頃は、なんでもやたらむやみにおかしく感じるもので、ケラケラ笑うと、玉がそれて、拾いに走りました。
車の音がするね、と優一が言いました。
遠くで、エンジンの音がするのです。
「僕は、ずっと自分の部屋の窓から見ているから、この団地の人の車が来たらわかるよ。今のは、向かいの棟の山根さん。……、これは、赤城さんの車だね。悠二のお父さんの車だって、分かるんだよ」
ここからは、後で聞いた話なんですけどね。
悠二はここで話を一旦切っ
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