取り替え子/影山影司
切った。煙草を取り出し、火をつける。セブンスターの甘い香りがして、溜息の煙が流れる。痛みを紛らわす話の割りには、噺屋がやるようにゆっくりと溜めて、口を開いた。
「気がつくと、俺は病院で寝ていました。全身包帯ぐるぐるで、あちこち点滴やら、酸素チューブで繋がれているんです。体中痛くて痛くてね、パニックになったところに親やら看護婦さんやらがやってきて、事情を教えてくれましたよ」
あの日の夕方、どうやら俺と優一は車の前に飛び出したらしいんです。
二人揃って車に轢かれて、病院に担ぎ込まれたんです。
ただ、違ったのは打ちどころです。俺は腹やら胸を強く打ったんですが、優一は顔を車
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