取り替え子/影山影司
 
いつもチリ一つなく片付いている家なのに、その紙はその辺に散らばっていて、優一を呼んでも、部屋にもいないし……。俺は、その紙をつなぎあわせてみたんです。
 紙は、手紙でした。なんてことない事でしたよ。
『ご飯を作っておきました。悠二くんと食べてください。おにぎりは、あなたの好きな具にしておきました』
 ってね。
 机の上には、玉子焼きとか、ウインナーとか、コンソメスープとか、そんなものが並んでいました。
 おにぎりだけは腹を空かしている俺のために大皿に盛っていて、俺はそれをつまみながら優一が帰ってくるのを待ちました。なにせ、学校で思いっきり汗をかいて、腹も減らしたところです。いつの間にかす
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