SCHOOL/済谷川蛍
ッと明るくなった。
「竹中くんも、帰ってきたの?」
「うん」
彼女も竹中の隣で手を洗う。やがて彼女は水を止め、パッパッと水滴を飛ばした。秋山は彼女にブランド物のハンカチを差し出した。
「使う?」
「ありがとう」
竹中と沖は一緒に歩いた。
それからお互いの、この学校を卒業したあとのことを、かいつまんで話した。
卒業生の竹中と沖が、なぜ今ここにいるのか。それは、この学校に保障制度があったからだ。もし卒業後、人生に行き詰まりを感じたら、いつでも再入学して、勉強し直し、新たな人生の道を模索することが出来る。学費や食費、寮の宿泊費などは、条件によってはほとんど学校側が負担して
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