SCHOOL/済谷川蛍
 
してくれる。入学した時点でその保障の権利を得られ、たとえ退学処分を受けたとしても、やはり条件によってはその権利が抹消されることはなかった。
 正直、竹中は彼女が今ここに居ることが意外だった。子供時代の彼女は背が高く、背中まで伸びた髪はポニーテールで結ばれ、どことなくアメリカの女の子のような雰囲気を持っていて、いつも明るく、笑うと目が三日月形に輝き、その笑顔がいつまでも忘れられなかった。今目の前にいる彼女は、あの頃の幼さは消えて、歳相応の落ち着いた美しさを身に着けていた。彼女は英語を専攻していて、最初の一年間はほとんどカナダの分校で過ごしていた。そして帰国した一学期の終わりのスピーチで、カナダでの
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