ほら、そこで見なれない何かがまた息を潜めている/ホロウ・シカエルボク
囲んでいるんだ、完全に包囲して、いつか喰らいつこうと待ち構えている肉食獣みたいにさ、完全に包囲して、取り囲んで、こっちが力尽きるのを待っているんだ、諦めるのを待っているのさ、ぶっ倒れて、もうなにも書けなくなるその時を待っているんだ、実体に集中するんだ、そいつにまとわりついてるものを出来る限り引っぺがしていかなくちゃ、なんにも知らないままで死んでしまうのさ、見えないものほどよく蠢くぜ、聞こえないものほど叫んでるんだ、本当の実体に触れることが出来たら、おまえにもきっとそのことが判るはずさ、見えるものに、聞こえるものに惑わされるな、そこにあるのはよく出来た風景だけなのさ、全ての詩文を引き裂いても生まれて
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