神創世記/みずうみ鳶
はないだろう
しかしまだ背にのった陸亀の手足は
打ち捨てられた棺桶のように
無言でいる
つまり頭上に浮かぶ平石は
僕の頭の半分以上を占め
仮死状態の意識を
その視野を
赤い液状のもので覆って
眼を反転させる
眼球は回転する
地球の自転を追いかけるように
暗闇しかない
ところに花は咲く
そのときはじめて眼球の側壁に書かれた
文字列に気づく
<その瞳もひとつの時計として>
<時間そのものを見ることができるようになった>
瞳は太陽を直視し続ける
すなわちそれは日時計として
ゆっくりと自動的に文字を読み上げる
風紋を刻む
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