あらゆるものは砂の数/ホロウ・シカエルボク
しいとラジオが言っている、今夜、世界は果てしも無く濡れるのだ、愚直な詩人はその中へ飛び出して詩を叫び出すだろう、路上の詩人、頼まれもしないのに割れた声で詩を読みあげる路上の詩人、気をつけなよ、俺にそんなもの見せたら喉笛を掻き切るかもしれないからな―そんなものにはなんの意味もない、そんなものには…滑稽さを装いながら真剣さを見せるのはよしなよ、そんなのはどんな世界でもみっともないとしか評されないんだぜ、静かに、気持ちを落ち着けて、自分がやるべきことだけをすればいいんだ、自分がやるべきことを理解しているのなら…俺は胡坐をかいた脚を崩して投げ出す、堰き止められていた血液が騒ぎ出す、軽い痺れ、指先に軽い痺れ
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