人間社会でも猫の事務所/Neutral
て
僕は誕生日プレゼントに君からもらったボールペンで
真っ黒になったページの たった一か所残された余白に殴り書きをした
「くじけるな
あきらめるな
泣きながらでも前を見て生きろ」
それから二人で同じ道を歩んで
二人で違う道に進むことを決め
僕はまた気ままな野良猫に戻った
なんと法律家になった君とは違い
僕は猫のままであり名前はまだ無い
馬鹿犬どもを黙らせる為の力が法律だと信じていたから
正直今でも君が羨ましいんだ
君の事も忘れそうになったある日
やあ久しぶり と カフェのテラスで
君が仕事を辞めていた事を知った
僕も猫だったよ
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