光源のうた/木立 悟
?
軋む音
水の音
小さな舌の音が来て
流れるように傾きを変え
流れるように消えてゆく
指のひとつひとつに降り来る
泣きそうな笑みの光がある
触れる間もなく消えてゆく
明るい灰色の光がある
何を想うでもなくやって来る
それら無口な光を聴く
いつかそのままひらかれる
はばたくような光を聴く
?
曇の音雨の音降りしきるなか
あらゆるひと粒ひと粒にさえ
潰れてしまいそうに立つひとに
雨は既にかがやきなのだと
伝え去る伝え去る重なる光
有る無も無い無も虚ろな無もなく
帯となり尾をのばす目も眩む巡り
うた
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