夜/しゅう
けたくなかった
きっと夜は知っていたんだ
もうこの部屋が世界中で最後の夜だってことに
旅に出るって決めたときから
夜は急に暖かくなって
私は毎晩寝付けなかった
瞳の奥からなぜか涙がこぼれてきて
夜が泣いているのか、私が泣いているのか全然わからない
+雪原が良かった
荷物はボストンバッグ一つ
白さがまぶしかった
でも、こんなに暗い明るさを私は他に知らない
夜が、ふいに瞳からいなくなった気がした
雪原が群青に染まっていた
白夜が続く
立ちつくして瞳の奥が熱くなる
照り返しだ、照り返しに夜が混じっている
白夜がのしかかる
世界はこんなにま
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)