僕の親友/yamadahifumi
 

 「それに、この怯えた子羊のような人々の動きは、見物するのに楽しいかもしれない・・・。まあ、俺も落ちる一員なんだけどな・・・。問題は、沈没する船の中にいて、その事を知っている人間と知らない人間がいるって事だ。俺は・・・・・そうだな・・・・」
 と、ツダはもう一度、目線を上げて考えようとした。そして、その濁った視線は宙を這った。
 「さあ、どうするかな。どうするか・・・」
 ・・・・・・・そう言って、ツダはテーブルに大きな音を立てて、崩れ落ちた。持っていたグラスが割れ、氷が中から飛び出してきて、僕の服に当たった。店員と客が同時にこっちを見て、店員がパタパタとこっちに走ってくるのがわかった。
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