エリザベス/nonya
 

幅の広い
プラスティックの襟を
唐突に立てて
上目遣いで
僕を見つめる君は
結婚しなかったエリザベス?世ではなくて
去勢されたうずまき猫

好奇心のまま
何処かに突っ込んだ
左の前脚を
化膿させて
不条理で屈辱的な
貴族の芳香もなにもしない半円錐形の襟を
強制されたうずまき猫

時々
自分を確かめようとして
うっかり
透明で無愛想なプラスティックの内側を
舐めてしまう君は

時々
自分がもどかしくて
うっかり
透明で無慈悲なプラスティックの外側を
掻いてしまう君は

自由と引き換えなら
前脚の一本くらい無くてもいいやなどと
思ってやし
[次のページ]
戻る   Point(18)