エリザベス/nonya
幅の広い
プラスティックの襟を
唐突に立てて
上目遣いで
僕を見つめる君は
結婚しなかったエリザベス?世ではなくて
去勢されたうずまき猫
好奇心のまま
何処かに突っ込んだ
左の前脚を
化膿させて
不条理で屈辱的な
貴族の芳香もなにもしない半円錐形の襟を
強制されたうずまき猫
時々
自分を確かめようとして
うっかり
透明で無愛想なプラスティックの内側を
舐めてしまう君は
時々
自分がもどかしくて
うっかり
透明で無慈悲なプラスティックの外側を
掻いてしまう君は
自由と引き換えなら
前脚の一本くらい無くてもいいやなどと
思ってやし
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