先輩との話/yamadahifumi
 
ったんだ。・・・もちろん、実際、あの女というのは、無数にいる女の中の一人にすぎない。あの程度の女、腐るほどにいる。それが、真実だ。だが、俺は違った。あの女に夢を見せてやった。嘘という素敵な夢をな。そして、俺が夢を見せてやる代わりに、あの女は俺に股を開いてくれた。・・・だからな、こんな事で、あの女に罪悪感を抱くのは、徹底的に間違っている。むしろ、俺はあの女に感謝してもらってもいいくらいだ。違うかい?」
 ・・・先輩のその雄弁に、その時の若い僕は、心ときめかせた。先輩は行動力があり、モテて、なんでもできるスーパーマンだった。英雄だった。その時の僕には。そう・・・・・・その時の僕にとっては。
 先輩
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