先輩との話/yamadahifumi
して言うべき事が何もないみたいだった。・・そして、おそらくは本当に言う事がなかったのだろう。先輩は僕に説教を受けに電話してきたわけではない。・・・はっきり言って、彼は高級な乞食のように、僕に物乞いをしにやってきたのだ。・・・もっとも、人間というのはみんな、大なり小なり乞食にちがいないが。
「・・・・お前、変わったな」
と、先輩はぽつりと言った。・・・それは僕が知っていた、『強くて格好いい先輩』とは全然違う先輩だった。
「・・・お前は強くなったよ。俺と違ってな」
と、先輩は吐き出すように言った。僕はその時、何故だかーーーーー有頂天のようになっていた。多分、足をもがれたバッタを踏み潰す
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