先輩との話/yamadahifumi
て聞こえた。
「よう。どうだ?調子は?・・・悪いな、こんな夜中に、電話しちまって」
・・・僕は、昔の先輩を思い返しつつ、自分の事を、少し話した。自分の今の境遇、自分の今している事・・・・それを話すのに、五分とかからなかった。・・・大体、僕の人生は、三分でダイジェストが効くような代物なのだ。
「・・・そうか。なるほどな。そんな事になってるとはな・・・」
そう言って、先輩はほんのすこし沈黙した。・・・まるで、何かを言い出す為の、間合いを計っているような沈黙だった。僕はすぐにピンときて、ああ、嫌な感じがするな、と思った。・・・例えば、そう、十年ぶりにあった友達に急にマルチ商法をすすめられ
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