先輩との話/yamadahifumi
 
ましてすごかったのはその度胸だった。ハッタリをかます、その度胸だった。・・・「世間なんて所詮、ハッタリでできているから、いかにハッタリかますかが問題なんだよ」と、先輩は、よく言っていた。
 先輩は女の子を連れて、僕の所に戻ってくる。そして、その第一声。
 「・・・こいつは、俺の後輩のミネギシ君って言うんです。・・さっき、こいつと一緒に歩いていて、あまりにも美しい女性が目に止まったんで、俺はこいつをほっぽり出して、あなたの所まで来て、こうして口説いてしまったというわけなんですよ・・・。・・・おい、ミネギシ、挨拶しろよ。この人は、世界一の美人、この人混みの中でも一番美しく輝いていた令嬢だぞ・・・」
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