能動的な夜に反射するものたち/ホロウ・シカエルボク
ぽちり、と小さな音がして
甲虫は僕の体重を受け止めてしまいました
そいつの周りの土だけがすこしだけじくじくとした感じになっていて
ああ、やってしまったと僕は
軽い損失程度の認識でそう呟きました
そこに失われていたのは間違いなく一個の命だったというのに
もうすぐ死ぬところだったんだ
あなたはそう言うかもしれない
取るに足らないことだよというふうに
冷静に
だけど、聞いてください
もうすぐは、いつのことですか
もうすぐは
いつのことですか?
僕の住んでる街からスクーターに乗って一時間余り走ったところに
もう誰も立ち寄ることの無い死に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)