あの猫の名前はマダナイっていうんだ、/木屋 亞万
めば、もう説明がいるか?という顔しながら、
「生い茂る」「お前」「立ったまま」「熱心に」「かいていた」
「一本の白樺」「木陰」「身を横たえる」という言葉から
夏のアバンチュールを想像しないものを吾輩は信用せんなと言った
「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。」
と読めば、つまりこいつはマゾなんだろ?と問うてくる
えたいの知れないものに始終圧えつけられる快感に全身を預けているのだろう
その不吉さの塊に心を奪われそうで、その背徳感にまた興奮を抑えきれぬのだ
マゾヒズムの陶酔もなかなか悪くはないなと言うとマダナイは塀の向こうへと消えた
マダナイはマゾヒズム的解
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