Candy Says/Debby
 
づいたそのときから
ロケットは全部宇宙に向かってしまって
人びとは煮込んだ鶏肉のことも忘れちゃって
大好きなあの人はロングブーツを履いているから
空想の隙間でキーボードがかたかた鳴る
夕暮れの窓だ、湯気に曇っただいどころの
素敵な町だった、それからさきは
星が降るような夜だったけど
ロケットのことばかり考えていたので
もう、なにも思い出せない。

さいごの力をふりしぼったからすが
それでも飛び立てずに
落っこちたときのあの音
夕暮れの中で、不規則に繰り返す
きみたちはいつだって
ちょっとだけ旧いものが好きだった
誰もが飛び立てるとは限らない
彼女はつまづいた

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