燃えないゴミの日/オノ
 
念品などは
欲しければ自分で買えばいいというように言ったし、彼女もそのようにした。

そしてある日、危惧したとおりであるが彼女にふられた。
男を振る時に女は罪悪感を背負わぬために色々と綺麗事を並べる
ものだが、彼女の口から出た理由は、飽きたからという潔いものだった。
そういうところも良いと思った。

私が彼女に形に残るものを贈らなかった理由は、何としても彼女の
記憶の片隅にでも私の存在を残しておくためであった。
贈り物や手紙や記念品のような、本人にまつわる物品を処分するという
手順は、その人にまつわる記憶まで一緒に葬るための儀式に欠かせない
要素だが、自分の血となり肉となっ
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