That's fiction bunny/済谷川蛍
にこのことだ。俺は心の中でやつに語りかける。
「お前は俺の命が目当てなのか? 俺の人生は終わっちまった。こんな安い命くれてやる」
やつは一向に構わず、辺りをうろちょろしている。
「ジャマなんだよ」
ウサギはぽぉんと窓から飛び降りた。だが、憂鬱は相変わらず続いた。
病院に行った。医者にはウサギのことは話さず、ただ説明のしづらい憂鬱のみを語った。ソラナックスという薬を処方された。
今夜も現れる。きっとヤツは俺のことが好きなんだろう。そういう風にしか愛することが出来ないやつは人間の中にもいる。哀れなやつだぜ。
ふっと俺は笑った。後はもう、夕食のあとに飲んだ薬が効きはじめるまで
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