That's fiction bunny/済谷川蛍
 
。幻覚というものを面白いものだと思っていた俺はリアルじゃなかった。実際にはこんなにも厄介な、恐ろしいものだったとは。ウサギの幻覚に人生を狂わされ、"普通の人生"から脱線してしまったことを実感し、夜に限らず昼の世界の風景も、何もかも変わった。ノーマルでなくなることがこれほど恐ろしいとは、そして自分がそうなってしまうとは、本当に夢にも思っていなかった。

 今日もアイツは現れた。部屋の隅で、何かごそごそしている。その仕草や、容貌などを暴き出して分析してやりたいが、何とも不明瞭なのだ。視線をやると消えている。
 一体ヤツの目的は何だ? なぜ俺にまとわりつく? 絶望とは、まさにこ
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