笛吹きケットル/ただのみきや
 
からも注ぎ口からも
 ――完全に沸騰したのだ――
だがケットルはただグラグラしているだけだ
必死に笛を吹いてはいるが
かつてのような音色は出なかった
やつは高熱と高圧にさらされながら
いつまでも音の出ない笛を必死に吹き続けていた

おれはだんだんケットルが憐れになってきた
かつてはできていたことが 
今は できなくなったのだ

 「来年度、お前を会社にとっての戦力とは見ていない」
 
 「実績が上がらなかった営業所は閉鎖だ」
 
 「君は自分で思っているほど評価されているわけではないよ」

何度 おれも「お払箱」「役立たず」で悔し涙を流したことだろう
おれは火
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