笛吹きケットル/ただのみきや
そして だんだんと沸騰してきた
「それじゃあお前がしっかり笛を吹けるかどうか
おれが踊れるか踊れないか試してみようじゃないか! 」
おれはケットルの蓋をあけ 水道を全開にして冷水をぶち込んだ
ケットルの奴が 「つぅッ! 」 と漏らしたがお構いなしに
そしてケットルをガステーブルに乗せて強火で点火した
おれたちは互いに睨み合ったまま黙っていた
時間だけが何食わぬ顔 冷静さを保っていた
お湯の温度が上がりはじめる
?こおおお?と低く唸っている
だがこれは薬缶ならば当たり前のこと
笛の音とは程遠いものだ
やがてケットルは激しく蒸気を噴出した
蒸気穴から
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