クローゼットに潜む魔/夏美かをる
 
だいた!
しかも数が増えていた!

その瞬間 鬼に化けた私は
呑気にゴルフ番組を見ていた彼を捉え、喰ってかかった

 何故何週間も竜を放置しておくのか!
 おぬし、竜退治なぞ私がやれ、とでも考えているのか!

一瞬ポカンと私を見つめた彼は
いつもののほほんとした調子で言った

 竜?竜など僕には見えなかった
 僕はクローゼットを開けたら
 必要なものしか見ないんだ

そんな言い訳が通用すると真剣に思っているのか!
更に勢いを増しそうな私の鼻息を認めた彼は
やれやれと立ち上がり
ぼそぼそ何か呟きながら寝室に向かった
これで安心!と私は胸を撫でおろした…


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