あらゆるものが性急なスピードでこぼれ落ちていく/ホロウ・シカエルボク
く気力がなかった、合成レザーの感触に身を委ねて…乾き始めた汗に安堵しながら短い夢を見た、中身は覚えていない、ただ木蓮の枝のような蜘蛛が出てきた、それがゆっくりと俺に近寄って…蜘蛛の出てくる夢をよく見る、そういう夢では決まって、俺は満足に身体を動かすことが出来ず、にじり寄ってくるそれをただ見つめている…何かを暗示しているのだろうか?だけどそんなことが判ったからって何だというのだ?それは俺の見た夢に違いないが、俺の人生について夢にとやかく言われる筋合いはない…夢と現実とは交わらないものだ、そう決めておいた方がややこしくなくていい―もう一度眠ろうとしたがまるで眠れなかった、ウンザリした、そういうことが当
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