あらゆるものが性急なスピードでこぼれ落ちていく/ホロウ・シカエルボク
 
が当たり前のように訪れる、満足に眠ることなんかろくに出来ない、俺はソファーを抜け出した、どうせ起きてしまったのだから、きちんと寝自宅を整えてベッドに行こう、そう思った、洗面所に行くと夢の中から抜けだしてきたらしい例の蜘蛛が居て…俺を見ると手招きをするように前脚をいくつか動かした、歯を磨いてもかまわないか、と俺は問いかけた、蜘蛛は俺の邪魔をしないように脇へどいた、俺は蜘蛛を見ながら歯を磨いた、俺が口をゆすいだ水を吐くたびに、蜘蛛は少し洗面台から距離を開けた、きっと水があまり好きではないのだろう…タオルで顔を拭いて眠るよ、と話しかけようとしたが、もうそこに蜘蛛は居なかった、何をしに来たんだ、と俺は思った、夢と現実の境界線の解釈について、俺に講釈でも垂れるつもりだったのか?俺はベッドに横になった、蜘蛛は天井に居た、そして俺の顔めがけて降下してきた、そんなのあまり気分のいいものじゃない…俺は逃げようとしたが遅過ぎた、顔に…張り付くかという瞬間にそれは消えた、畜生、と俺は毒づいた、頭の片隅で何かがカチリと音を立てた、それが鳴り終わる前に俺は眠りに落ちていた…。

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