あらゆるものが性急なスピードでこぼれ落ちていく/ホロウ・シカエルボク
 
核持ちの咳のようにもどかしく絡まり、それから、獣の咆哮のような低音を響かせて落ちていった、ほんの少し、なにかが引っかかったのだろう…だけど、もう心配はないようだ、俺は水を止めた、真夜中の静寂がキッチンに訪れた、シンク台にもたれて座りこみ、天井を見上げた、蛍光灯が真っ直ぐなオシログラフのような音を立てながら輝いていた、その瞬きの中に様々な幻を見た、それは例えばこれまでに関することだった、日頃忘れている癖にある瞬間に突然昨日のことのようにありありと思い出す、そんな出来事の群れが次々に現れては消えていった、それは限定された走馬灯のようだった、つまり、俺の限定されたいくつかが死を迎えようとしているのだと俺
[次のページ]
戻る   Point(4)