記憶/壮佑
らない女の人達と一
緒にお風呂に入った。薬湯に濡れた白い肌の
記憶が、仄かな香りと共に漂っている。
やがてトキエは甲状腺を病み、遠くの町の
赤十字病院に入院した。日曜日に見舞いに行
った姉と私を、トキエは寝台から身を起こし
て迎えてくれた。姉と私はトキエに見守られ
ながら、病院の敷地内の池の畔で遊んだ。静
止した時間の中で、萱の茂みだけが風に揺れ
ている縁のぼやけた記憶。病院の横の橋を渡
ると、貸本屋の小さな暗がりがあった。
私はトキエを見舞ったことを作文に書き、
全校生徒の前で読み上げた。その時、私は涙
ぐんでしまった。級友達は私をからかい、教
師も私に声
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