幻想の住人/まーつん
 
ものへと造り替え
 強者への地歩を
 固めていったのだった

 進化の果てにたどり着いた
 人間という形の生命は

 だか今
 皮肉なことに
 その優れた
 生存本能ゆえに

 自滅しかけている

 白アリよろしく
 早い者勝ちに
 資源を食い荒らし

 弱者を蔑み
 踏みつける文化を
 何千年にもわたって
 営んできた

III

 そんな社会に
 窒息しかけていた
 僕を救ってくれたのが

 君の描き出す
 幻想の世界

 僕は緑の蔦が絡みつく
 白い東屋の柱にすがりつき
 新鮮な空気を吸い込む

 それは自由と
 可能
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