幻想の住人/まーつん
可能性の味がした
だがこれは
真実なのか
それとも
うたかたの泡と消える
空しい慰めに過ぎないのか
獣の爪に守られた
君の指先が描き出す
砂の上の天上画
打ち寄せる波に
さらわれる前に
潮汐を操る
月の前に跪ずき
海を静めてもらわなければ
美しさは儚く
時の流れは容赦ない
君が忘却に囚われて
幻想への入り口を
閉ざしてしまう前に
僕は扉を永遠に
開け放つ鍵を
君の世界に捜しに行く
だって
それこそが真実で
窓の向こうの現世の方が
幻に過ぎないのかも
しれないのだから
白い衣を身に纏い
風を相手に踊る君よ
両腕を翼のように広げて
全ての喜びを受け入れる
まるで
陽ざしとなって
降り注ぐ
無条件の
愛のように
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