エアコン/ホロウ・シカエルボク
ぐったりとしていた、いかん、と俺は我に返り、昔見たテレビの見よう見まねで赤ん坊を逆さに持ち、背中を叩いた…すると、赤ん坊は少量の水を吐きだし、そしてけたたましく泣きだした、俺はホッとして服を着たまま浴槽の中へ座りこんだ、産湯にはちょうどいいぐらいの量が溜まっていた、なあ、産湯の入れ方なんか知らないぜと俺はぼやいたが、女は返事をしなかった、まさか死んじまったんじゃあるまいなと覗いてみたら目を閉じて荒い息を吐いていた、どれぐらいあそこでもがいていたんだろう、そう思うと急にこの名前も知らない女のことを愛おしく思った、ともかく俺は赤ん坊を洗って身体を吹き、俺のバスローブでぐるぐる巻きにしてベッドに寝かせた
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