遡る/青井
周りを見回したって
小さい頃のぼくも死んだじいちゃんもいない
いったいぼくはどうなっているんだか
よく分からないけれど
とにかくなにかを遡っている
という感覚だけがあって
それ以外にはなんの手ごたえもない
だんだんと心細さが強くなってくる
ぼくはぼくを遡ってるんじゃないか
ふと思いついた
ぼくもひとつの流れのようなものだから
思いついたらそれしかないような気がしてきて
ぼくは自分の身体を撫で回す
タバコの灰がスニーカーに落ちた
ぼくがぼくを遡ると
いったいどこへ行き着くんだろう
考えていると心細さが膨らんできて
なんだか叫びだしたくなってきた
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