遡る/青井
 
周りを見回したって
小さい頃のぼくも死んだじいちゃんもいない
いったいぼくはどうなっているんだか

よく分からないけれど
とにかくなにかを遡っている
という感覚だけがあって
それ以外にはなんの手ごたえもない
だんだんと心細さが強くなってくる

ぼくはぼくを遡ってるんじゃないか
ふと思いついた
ぼくもひとつの流れのようなものだから

思いついたらそれしかないような気がしてきて
ぼくは自分の身体を撫で回す
タバコの灰がスニーカーに落ちた

ぼくがぼくを遡ると
いったいどこへ行き着くんだろう

考えていると心細さが膨らんできて
なんだか叫びだしたくなってきた
[次のページ]
戻る   Point(2)